年金の受給総額はどれくらい違うの?(高校生が考えたモデル化とシミュレーション02)

モデル化とシミュレーション

こんにちは。今回は高校生が考えたモデル化とシミュレーションの2回目を取り上げます。「情報の科学」の授業でモデル化とシミュレーションについて、生徒が題材を探し、数式モデルを作り、シミュレーションを行う授業を行っています。生徒が題材を探すときに、「現代社会」の社会保障制度の授業で学習した年金制度を取り上げました。「現代社会」の授業で、受給開始年齢によって受給額が異なることを知り、気になって題材として選んだようです。2019年現在の金額でシミュレーションをしてみると、どのような結果になるか試してみます。

年金受給額のモデルを作る

まず、受給額を調べることにします。

年金額の計算式がいきなり複雑でどうしようかと思ってしまいます。計算を簡単にするために、40年間しっかりと保険料を納めたことにします。これにより、65歳から年金を受け取った場合の年額は780,100円となります。

次に、受給開始年齢を考えていきます。日本年金機構の計算方法のページには

ただし、60歳から減額された年金の繰上げ支給や、66歳から70歳までの希望する年齢から増額された年金の繰下げ支給を請求できます。

とあります。このときの増減の率については、次のように書かれています。

65歳よりも前から受け取る場合の減額率については

減額率=0.5%×繰上げ請求月から65歳になる月の前月までの月数

となっています。逆に65歳よりも後に受け取る場合の増額については

繰下げの請求を行う月によって増額率は異なり、65歳になった月から繰下げの申出を行った月の前日までの月数に応じて1ヵ月増すごとに0.7%ずつ高くなります。

となっています。わかりやすいように65歳から受け取る場合を100%として、受給開始年齢による割合を表にまとめます。

請求時年齢受給率
60歳0ヶ月70.0%
61歳0ヶ月76.0%
62歳0ヶ月82.0%
63歳0ヶ月88.0%
64歳0ヶ月94.0%
65歳0ヶ月100.0%
66歳0ヶ月108.4%
67歳0ヶ月116.8%
68歳0ヶ月125.2%
69歳0ヶ月133.6%
70歳0ヶ月142.0%

次に、年金が支給されるのは2か月に1回で、偶数月の15日になっているようです。

支給日は偶数月の15日です。
年金の支給は年6回で、支給月は2月・4月・6月・8月・10月・12月です。支払月の前2ヵ月分が支給されます。

例)4月の支給は、2月分と3月分

なお、15日が土曜日・日曜日、祝日のときは、直前の平日に支給されます。

ということで、年額の2/12 = 1/6ずつ支給されるものとして計算します。

出来上がるモデルは、そんなに難しいものではありませんが一応示しておきます。

1回の受給日に受け取る額 = 780,100 × 受給率 × ( 1/6 )

年金の受取総額をExcelでシミュレーションしてみる

Excelでシミュレーションしてみます。スクリーンショットを載せておきます。

比較しやすいように、グラフで表示してみます。

何歳から受け取るのがよいのか?

総額が逆転する年齢の見当はグラフで70代ということはわかるので、もう一度表を見て、ほぼ同額になる年齢を調べてみます。

60歳から受け取る場合に、65歳から受け取る場合が追いつくのは、76歳2ヶ月のときです。

65歳から受け取る場合に、70歳から受け取る場合が追いつくのは、81歳10ヶ月のときです。

寿命なのでコントロールできるものではありませんが、70代後半あたりが総額が逆転する年代ということはわかります。

95歳までで総額いくら支給されるのか?

6月3日に、金融庁から『金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」』という報告書が公表されました。

この報告書では、95歳まで毎月約5万円ずつ金融資産を取り崩して生活すると、約2000万円不足するということが書かれています。年金の制度が続くかどうかということと、年金の支給額が妥当かどうかということは別の問題ではありますが、老後に安心して生活できるかどうかということでは一致するので、国民年金が95歳までにいくら支給されるのかをまとめておきます。

60歳から受け取る場合・・・¥19,112,450

65歳から受け取る場合・・・¥23,533,017

70歳から受け取る場合・・・¥27,878,174

となっています。95歳の時点で、受給開始年齢によって600万円ほどの差が生じるようです・・・

何歳から受け取るかの判断を、敢えてここでは書かないことにしておきます。そもそも年額780,100円という金額はどのようにして決まったんだろう・・・

今回はこれでおしまいにします。それではまた。

Posted by 春日井 優