箱ひげ図は中学校の内容になるんです

データの活用

こんにちは。前回までは,小学校算数に載っている「データの活用」領域の内容について取り上げました。

今回から,中学校数学での「データの活用」領域を取り上げることにしていきます。

学習指導要領解説では

それでは,2021年から中学校で行われる学習内容を見ていきます。

出典は「学習指導要領解説 数学編」です。

「データの活用」の領域は,統計の内容と確率の内容を含んでいます。

以前取り上げた小学校のときと同様に,学年ごとに「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」に分けて内容を見ていくことにします。

中学1年生・・・データの分布と不確定な事象の起こりやすさ

データの分布

知識・技能

・ ヒストグラムや相対度数などの必要性と意味を理解すること。

・ コンピュータなどの情報手段を用いるなどしてデータを表やグラフに整理すること。

思考力・判断力・表現力

・ 目的に応じてデータを収集して分析し,そのデータの分布の傾向を読み取り,批判的に考察し判断すること

用語・記号

範囲・累積度数

となっています。

不確定な事象の起こりやすさ

知識・技能

・ 多数の観察や多数回の試行によって得られる確率の必要性と意味を理解すること

思考力・判断力・表現力

・ 多数の観察や多数回の試行の結果を基にして,不確定な事象の起こりやすさの傾向を読み取り表現すること

となっています。

要約すると

分布を読み取ることができるようになることと,頻度確率の考え方を理解する

といったところでしょうか。

中学2年生・・・データの分布と不確定な事象の起こりやすさ

データの分布

知識・技能

・ 四分位範囲や箱ひげ図の必要性と意味を理解すること

・ コンピュータなどの情報手段を用いるなどしてデータを整理し箱ひげ図で表すこと

思考力・表現力・判断力

・ 四分位範囲や箱ひげ図を用いてデータの分布の傾向を比較して読み取り,批判的に考察し判断すること

不確定な事象の起こりやすさ

知識・技能

・ 多数回の試行によって得られる確率と関連付けて,場合の数を基にして得られる確率の必要性と意味を理解すること

・ 簡単な場合について確率を求めること

思考力・判断力・表現力

・ 同様に確からしいことに着目し,場合の数を基にして得られる確率の求め方を考察し表現すること

・ 確率を用いて不確定な事象を捉え考察し表現すること

要約すると

データの分布の傾向をより深くつかむこと,論理的な確率の基礎を理解すること

といったところでしょうか。

中学3年生・・・標本調査

標本調査

知識・理解

・ 標本調査の必要性と意味を理解すること

・ コンピュータなどの情報手段を用いるなどして無作為に標本を取り出し,整理すること

思考力・表現力・判断力

・ 標本調査の方法や結果を批判的に考察し表現すること

・ 簡単な場合について標本調査を行い,母集団の傾向を推定し判断すること

用語・記号

全数調査

要約すると

標本調査の考え方を理解する

といったところでしょうか。

中学校でのデータの活用を見渡して

以上が中学校での「データの活用」の学習内容です。

中学校全体として見渡すと,統計的な内容については,分布と標本とまとめられそうです。

小学校では,棒グラフ・折れ線グラフ・円グラフ・帯グラフといった個々の数量・変化・割合に焦点が当たっているように思います。

それに対して,中学校での内容は,ヒストグラム・箱ひげ図や四分位範囲といった範囲や幅を持った全体の特徴を捉えようというように印象を持っています。

また,3年生で学ぶ標本調査は,調べたデータが全体ではなくその一部という概念が難しいから,案外学ぶのが後の方になっているように思います。

さらに,「コンピュータなどの情報手段を用いるなどして」という文言が,学習指導要領に含まれているので,2021年から使われる教科書がどのようなものになるのか,気になるところです。

確率についても,「さいころで1の目が出る確率」といっても概念が難しいのかなと思っています。

1年生で頻度確率,2年生で論理的な確率を扱っています。

単なる計算だけではなく,確率が持っている意味や概念を理解できるように構成しているのだろうと推測しています。

最後に,自分自身が混乱していることを書いて終わりにします。

小学校6年生で学習する「柱状グラフ」と中学1年生で学習する「ヒストグラム」って何が違うのでしょう?

今回はこれでおしまいにします。それではまた。

Posted by 春日井 優